子宮けい癌の検査について。
子宮頸癌の検査で数年前に3aの結果が一年くらい出ていましたがここ二年ほどは2に戻りました。
これはウイルスが自然に排除されたという事ですか?
ウイルスが自然排除されたかは、HPV 検査をしないと確定は出来ません。
いずれにしても、自身の免疫機構により、異形成細胞が排除され、正常な細胞に置き換わった事を意味します。
定期的に細胞診の検査を施行して行く必要があります。
< 参 考 >
子宮頚癌は、ハイリスク HPV ( ヒューマンパピローマウイルス ) の持続感染で発症します。
性交渉の経験のある女性の 80% は生涯に感染しますが、一過性感染でウイルスは消失します。
10% 程の人が、最低 6ヶ月の持続感染で、細胞の核が、いびつに変化した異形成という変化を起こしますが、免疫で治り、正常な細胞に戻ります。
ごく僅かな人が5年以上かけて、癌に進展します。
持続感染の原因です。
1 ) 性活動関連因子
・性パートナー数
・経産回数 ( 3人以上 )
・クラミジア等の他の性行為感染症
・年 齢 ( 30歳以上 )
2 ) 免疫関連因子
・喫 煙
・ビタミン不足
・H I V を含む免疫抑制状態
・ステロイドの使用
3 ) 遺伝的要因
・組織適合性抗原 ( HLA ) ; 白血球の血液型で、ある型の場合、生体がHPVに感染したという認識確認が弱くなってしまい、HPVを排除出来なくなってしまう事も考えられます。
HPV 検査
子宮頸癌検査と同様の手技で、子宮の入口を擦って検査します。
1 ) ハイブリットキャプチャー法 ( HC II 法 ) ; ハイリスク HPV ( 16,18,31,33,35,39,45,51,52,56,58,59,68型の13タイプ ) の有無が分りますが、どの型かは分りません。
2 ) PCR 法 ; 上記の型を調べます。
HPVの影響と細胞診分類との対比
1 ) 軽度異形成 IIIa ; 子宮の入口の粘膜の表面の細胞の核が、いびつに変化した状態です。先の病変に進展するのは僅かに数%であり、自然治癒し、正常に戻ります。
2 ) 中等度異形成 IIIa ; 中間の細胞の核が、いびつに変化した状態です。10%程が、先の病変に進行しますが、残りは正常に戻ります。
3 ) 高度異形成 IIIb ; 深い細胞の核が、いびつに変化した状態です。15~20%が早期の癌に移行します。
4 ) 上皮内癌 IV ; 粘膜が癌に置き換わるも、癌が粘膜内に留まった状態です。70%が微小浸潤癌に進展します。
5 ) 微小浸潤癌 V ; 日母分類の class V、癌が粘膜を超えて浸潤するも浸潤が深さ5ミリ、広がり7ミリ以内に留まっている状態です。
6 ) 浸潤癌 V ; 浸潤が 5) を超えた状態です。
上記確定のためには、子宮の入口を拡大鏡で見て、怪しい部分を探し ( コルポ診 ) 、その部分の組織をかじり取って顕微鏡検査で診断 ( 組織診 ) されます。
治 療
1 ) と 2) は、組織診を省略し、3ヶ月間隔での細胞診で経過を追う場合があります。
3 ) は、病変部が全て見えており、浸潤癌を疑う場所が無ければ、日帰りもしくは1日入院で粘膜を焼く、レーザー蒸散をします。
そうで無い場合は、5~7日の入院で、子宮の入口を取る円錐切除術を施行します。
4 ) は、円錐切除術を施行します。
子作りが必要ない人は、子宮全摘をする事もあります。
5 ) は、子作りが必要な人は、厳重な管理の元、リスクを踏まえた上で、円錐切除が施行される場合もあります。
深さが3ミリ以内なら、子宮全摘 ( もしくは準広汎子宮全摘 ) 、深さが3ミリを越えている場合は、子宮全摘 ( もしくは準広汎子宮全摘 ) と骨盤内リンパ節廓清をします。
6 ) は、広汎子宮全摘と骨盤内リンパ節廓清をします。進行度により、抗癌剤の化学療法や放射線治療を先に施行します。
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