子宮ガンと子宮けいガンの違いを教えて下さい。
あとそれぞれどんな人がなるんですか?
子宮癌は子宮の入口に出来る子宮頚癌と、奥に出来る子宮体癌があり、それぞれ発症機序が異なります。
子宮頚癌は、ハイリスク HPV ( ヒューマンパピローマウイルス ) の持続感染で発症します。
性交渉の経験のある女性の 80% は生涯に感染しますが、一過性感染でウイルスは消失します。
10% 程の人が、最低 6ヶ月の持続感染で、細胞の核が、いびつに変化した異形成という変化を起こしますが、免疫で治り、正常な細胞に戻ります。
ごく僅かな人が5年以上かけて、異形成から癌に進展します。
コンドームは、完璧な予防にはなりませんが、感染率を低くする事が出来ます。
予防可能な持続感染の原因を可能な限り排除する事が予防に繋がります。
毎年、子宮頚癌検査を受け、子宮頚癌ワクチンの接種もして置くと良いと思います。
40ヶ月の経過で初期の子宮頚癌に進展した人の割合です。
ハイリスク HPV 陽性の人 ; 7%
ハイリスク HPV 陰性の人 ; 0.007%
機序は、ハイリスク HPV の持続感染により、ウイルスの E6 、E7 遺伝子産物が、癌抑制遺伝子 Rb や p53 等を抑制するためと言われています。
持続感染の原因です。
1 ) 性活動関連因子
・性パートナー数
・経産回数 ( 3人以上 )
・クラミジア等の他の性行為感染症
・年 齢 ( 30歳以上 )
2 ) 免疫関連因子
・喫 煙
・ビタミン不足
・H I V を含む免疫抑制状態
・ステロイドの使用
3 ) 遺伝的要因
・組織適合性抗原 ( HLA ) ; 白血球の血液型で、ある型の場合、生体がHPVに感染したという認識確認が弱くなってしまい、HPVを排除出来なくなってしまう事も考えられます。
子宮頚癌ワクチン接種
初回と、初回から1ヶ月後 ( 初回から2ヶ月半遅れても効果に変わりはありません ) 、初回から6ヶ月後 ( 初回から1年遅れても効果に変わりはありません ) の3回、肩の筋肉 ( 三角筋 ) に注射します。
1回につき 15000円です。
効果は、3回目の接種の1ヶ月後から、98% 程の確率で、HPV の16型と 18型を最低 7年間予防します。
他のHPVもありますので、1回/年 は、子宮頚管検査が必要です。
子宮体癌は、無排卵を長期に放置すると発症します。
無排卵で、卵巣から卵胞ホルモン ( エストロゲン ) しか出ず、卵胞ホルモンによって出来る下地の内膜が、長期に渡って居残り厚くなってしまうと、子宮内膜増殖症という病気になります。
この時点で分かり、排卵した後に卵巣から出る、黄体ホルモン ( プロゲステロン ) 製剤を 7日間程、内服し、居残っている下地の内膜の上に、しっかりした内膜を掛けた後、内膜を子宮の境界から剥がし生理を起こせば癌に進展せずに済みます。
放置すると、子宮体癌になります。
無排卵が続いても、排卵まで、時間がかかっても、1年に 5回程、排卵して黄体ホルモンが作用し、生理が来ていれば、子宮体癌は予防出来ています。
排卵の有無は、基礎体温を記載すると分かります。
無排卵の原因は以下があります。
特に、肥満は、無排卵の原因になりますので、標準体重の維持が重要です。
無排卵の原因 ( ※ 印が、子宮体癌と直接的に関係する可能性があるもの )
・ ストレスや環境の変化等があると、脳下垂体からの FSH ( 卵胞刺激ホルモン ) と LH ( 黄体刺激ホルモン ) の出が低下します。
※ 多嚢胞性卵巣症候群 ( PCOS ) ; 卵巣に排卵準備が出来て無いのに、脳下垂体から LH の排卵命令が来てしまうと、卵子を入れた卵胞が成長し難くなります。
・痩 せ ; 脳下垂体への排卵刺激には、全身の脂肪で作られる卵胞ホルモンの助けも必要です。痩せがあると、その助けが少なく、無排卵の原因になります。
※ 肥 満 ; 脂肪組織が多いと、上記の助けが多過ぎ、脳下垂体が、排卵直前と判断し、LH を出してしまいますが、卵巣には排卵準備が出来て無く、無排卵になったり、小さな卵胞のまま排卵すると黄体機能不全になります。
・高プロラクチン血症 ; 脳下垂体から、産褥期にしか出ない母乳を出させるプロラクチンが出てしまうと、卵巣の FSH と LH に対する反応が低下してしまいます。
・卵巣腫瘍があると、卵巣自体の正常な機能が損なわれる事があります。超音波検査で問題無い事の確認が必要です。
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