ヨウ素と塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム
ビタミンCの検出の実験で、ヨウ素ヨウ化カリウム溶液(ヨウ素液)に食品を加えて、ビタミンCがあった場合、C6H8O6+I2→C6H6O6+2HIという反応が起こり、青紫色が消えるということを利用しました。
そこでなのですが、ビタミンCが含まれていない豆腐を加えたところ、反応して色がうすくなってしまいました。
この反応について、豆腐に含まれるビタミンCと同様抗酸化作用がある物資(=還元剤)によってヨウ素がヨウ化物イオンに変わって色がなくなるという可能性があるということはわかりました。
もうひとつの可能性として豆腐の製造過程でくわえるにがりの塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムとヨウ素が反応するということはありえるのでしょうか?
<考えた化学反応式>
MgCl2+I2→MgI2+Cl2
2KCl+I2→2KI+Cl2
2NaCl+I2→2NaI+Cl2
あと豆腐に含まれる抗酸化作用を持つ物質(還元剤)として、ビタミンE・サポニン・イソフラボンは反応に関係する可能性がありますでしょうか?
MgCl2+I2→MgI2+Cl2 ・・・・・①
2KCl+I2→2KI+Cl2 ・・・・・②
2NaCl+I2→2NaI+Cl2 ・・・・・③
の反応がおこることはありえません。なぜなら、酸化力はCl2 > Br2 >I2 だからです。
①、②、③式の反応は、イオン反応式で表すと、
2Cl- + I2→ Cl2 + 2I-
となりますが、この反応は、反対方向←には進行しても→方向には進行しません。
なお、ビタミンE,サポニン、イソフラボン(化合物による)もI2と、とくに塩基性条件では反応します。ヨウ素の酸化力は塩基性になるほど強くなります。ですから(実際実験をやったことはありませんので確証はできませんが)条件によっては反応することは十分に考えられます。
ハロゲンの性質について学習したことがあると思いますが、
F>Cl>Br>Iの順に強い酸化力を持ちます。
つまり周期表で上にある元素ほど電子を引き付ける力が強く、1価の陰イオンになりやすいのです。
このことを頭に入れておけば、
「塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムとヨウ素が反応するということはありえるのでしょうか?」
はすぐにわかります。
2種類のハロゲン元素が存在する場合、周期表で上にあるもののほうがイオンになりやすいので
塩化物がヨウ化物に置き換わることはありません。
少なくともCl-はヨウ素を還元できませんが、ビタミンCでなくても還元性のあるものなら反応します。
色が消えたということはヨウ素が還元されたということですから、何がその反応を起こしたのか、
それを考えることが重要なのです。ビタミンE・サポニン・イソフラボンもその可能性のひとつです。
他にも反応を起こす物質があるかどうかを考えるのも、この実験をしたことの意味でもあるのです。
0 件のコメント:
コメントを投稿